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zoom RSS 映画 『凶悪』 罪の意識なき残虐、非道を描く

<<   作成日時 : 2018/05/29 11:37   >>

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公開  2013年(平成25年)

配給  日活

原作  新潮45編集部編『凶悪 -ある死刑囚の告発-』

監督  白石和彌


この物語は実在の事件を元にしたフィクションである


藤井修一(山田孝之)は明潮社で働く記者で、

スクープ雑誌『明潮24』の雑誌担当をしているが、

スクープばかり追う仕事に疑問を感じていた。


ある事件を地道に取材していた藤井は、

3か月前の事件だと女性編集長の芝川理恵(村岡希美)に

「終わってるでしょ」「ネタにならない」と一蹴されてしまう。


「それよりもこの手紙を読むように」と芝川に頼まれた手紙を読んだ藤井は、

東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤純次(ピエール瀧)に会いに行く。

死刑判決が出ているが、須藤は最高裁に上告中の身だった。


面会室で須藤に会った藤井は、

須藤から誰にも話していない3件の余罪について告白すると言われた。

死刑囚とはいえ上告中の身の須藤が、

露見していない罪を告白するのはどう考えても不利なこと。

そう指摘した藤井に対し、

「どうしても許せない奴がシャバ(外の世界)にいる」

「そいつがシャバでのうのうとしていることが許せない、

その人を追いつめて裁きたい」と

事件を記事にして追いつめてほしいと須藤は言う。


須藤が言う3件の事件とは、いずれも「先生」と須藤が呼ぶ男が首謀者で

@「先生」が殺したある老人を、焼却炉で燃やした

A「先生」が転売した土地の所有者の老人を生き埋めにした

B借金を背負った老人を、「先生」が保険金をかけて酒を飲ませて殺した

という三つの殺人だった。


俄かには信じがたいと思いつつも、

須藤の供述には「曖昧すぎる点」が多すぎて、妙にリアリティがあった。

たとえば老人を生き埋めにした場所もおおまかすぎ、

苗字も「島なんちゃら」と覚えておらず、

騙すならもっとマシな嘘をつくだろうと思われたのだ。


「先生」なる人物は茨城県で建築資材を販売する会社を経営していたり、

不動産ブローカーをしていた人物で、

名を木村孝雄(リリー・フランキー)と言った。


藤井は早速簡単な報告書を作成し、

芝川編集長に見せると「死刑囚が余罪を告白するなんて、犯罪小説みたい」

「不動産ブローカーがヤクザと手を組んで人を殺しても、よくある話、

記事にならない」と言われ、取材中止を命じられる。


断りに行った藤井は「どうせ死ぬなら綺麗になって死にたい」という

須藤の熱意に押され、個人で調べ始める。

調べていくうちに徐々に信憑性が増してきた。

それに比例するように、藤井は取材にのめり込んでいった。

芝川に「本物かもしれないが、物証なしに記事にしたら責任を取れない」

と言われた藤井は、証拠固めも万全におこなう。

職場も無断で休み、家にも帰らず、

無精ひげを生やしながら3つの事件を追った。

先生・木村の持つ木村商事の場所を見つけた藤井は、事件の詳細を得る。


(ここからは3つの事件の回想シーンになっていきます)

木村はある日、自分が貸した金を踏み倒そうとした相手の首を絞めて殺した。

殺したものの遺体の処分に困り、須藤に電話をかける。

須藤は森田土建の社長・森田幸司(外波山文明)に声をかけ、

半ば脅す形で森田土建の焼却炉を借りて死体を燃やそうと考えた。

ところが実際にやってみると焼却炉に死体が収まらない。

須藤は死体を切断して焼却炉に入れることにした。

横で見ていた木村は、遺体がつけていたネックレスを

「金になる」と取り上げてポケットに入れる。

「燃やしてみたい」と木村が焼却炉に火をつけた。

「肉の焼けるいい匂いがする。食いたいねえ」と木村は言った。

焼却炉の主の森田は最初から引け腰で、

須藤が遺体を切断するのを見て吐いてしまう。

それ以降は須藤たちに関わらないようにしており、

6年前に資材の下敷きになって、現在は寝たきりの病人になっていた。


この遺体処理以来、須藤と木村は密接な付き合いを始めた。

羽振りのよい木村は、須藤の内縁の妻・遠野静江(松岡依都美)の娘に、

クリスマスプレゼントでランドセルを買い与え可愛がる。

須藤には五十嵐(小林且弥)という腹心の部下がいるが、

木村から紹介された若者・日野佳政(斉藤 悠)も

舎弟として預かることになった。


その頃、木村は須藤に次の犯罪を耳打ちする。

島神という身寄りのない痴呆症の老人の土地を下見し、

既に売却した木村は、老人の始末を須藤に頼む。

福森介護テックという木村の知人・福森孝(九十九 一)が連れてきた島神を、

前と同じように焼却炉で焼こうと考えていた須藤だったが、

森田はおじけづいて拒否する。

仕方なく木村が転がしている土地に埋めることになり、

夜中に福森と須藤がシャベルで穴を掘って、島神を生き埋めにした。

手足を拘束され、猿轡をかまされた老人が埋められていくのを、

木村は懐中電灯でかざして見ながら

「そんな顔されたら、興奮するな〜」と言う。

島神の土地は1億円ほどで売れ、金は山分けした。


木村は須藤を弟のように思い、須藤は木村に一生ついていこうと思っていた。


刑務所仲間の佐々木賢一(米村亮太朗)が出所し、須藤は温かく迎えた。


その頃木村には、借金で返済に苦しむ牛場電機設備という

小さな電器店の話が舞い込んだ。

肝硬変で余命1週間と言われながら、

入院すると元気になった牛場悟(ジジ・ぶぅ)は

5000万円の借金を抱えており、家族は全員借金返済にあえいでいた。

牛場悟の妻・百合枝(白川和子)と長女・恵美子(原 扶貴子)、

その夫・利明(廣末哲万)は、悟を木村に託した。

木村は悟に8000万円の生命保険をかけるよう指示する。

そして牛場の再就職先を斡旋する形を取って身柄を預かると、

悟の歓迎会と称して日本酒を無理に飲ませた。

逃げようとする悟を捕まえると、木村は牛場家に電話をかけ

「じいさん、死にたくないって言ってるけど、どうする?」と聞く。

妻・百合枝は「もっと、飲ませてください」と答える。

すると一味は、焼酎に覚醒剤を混ぜて飲ませ、

スタンガンで悟をいたぶる須藤を見て木村は大喜びし、

木村自身もスタンガンを悟に当てる。

さらに96度の酒を飲ませると、悟は死んだ。

傷跡だらけの死体を氷の浴槽に入れ、後日、死体は山に捨てる。

保険金が入った牛場利明に、

木村は「バアさん(百合枝)の方もやる(殺す)よ」

「時計、質屋に預けると思って、任せて下さいよ」と唆したが、

利明は黙って店に戻った。


同じ頃、佐々木賢一が須藤を裏切ろうとし、橋から落とされて殺される。


さらに木村から託された舎弟・日野佳政がドジを踏み、

須藤は五十嵐を連れて日野とその恋人・田中順子(範田紗々)の

アパートに行くと、

順子に覚醒剤を打ってレイプし、日野と順子に灯油をかけて燃やす。

順子は死亡し、佳政は意識不明の重体に陥りる。

この栃木県宇都宮市の「マンション監禁放火殺人事件」で、

須藤と五十嵐は指名手配される。

木村は、そろそろ須藤と手を切ろうと考えた。

「火事で死んだのは1人だけ、うまくやれば死刑にならない」

「いい弁護士をつける」と言った。


その後「実は五十嵐に逃走資金を求められたが、断った」

「須藤を裏切って逃げるなんて」と付け加えた。

人一倍情に厚く、五十嵐を可愛がっていた須藤は、

それだけに五十嵐の裏切りが許せなかった。

車中で五十嵐を銃で殺す。

しかし本当は、五十嵐は裏切ってなどいなかったのだ。

須藤は逮捕され、死刑判決が出た。

(ここまでが回想シーン)


裏付けを取った藤井はひげ面のまま出社し、芝川に記事を突きつける。

現在もなお木村は老人ホームに出入りして、ターゲットを狙っている

と聞いた藤井は、木村宅を訪問して取材しようとした。

木村は警察に通報し、巡査を突き飛ばした藤井は公務執行妨害で逮捕される。

警察に木村の件を告発した藤井ですが、

「記事にするのはやめてくれ」だけで取り合おうとしない警察に対し、

芝川編集長が記事の掲載にゴーサインを出す。

藤井の記事は『明潮24』に掲載され、社会的に大きな波紋を呼んだ。


牛場家の保険金殺人が立件され、百合枝、恵美子、利明が逮捕され、

芋づる式に木村も逮捕された。

獄中で須藤はキリスト教に入信し、短歌やペン習字を習い始めた。

藤井のところに「そこをどけ 先生が通る 悪魔道 

春はこねども 察(サツ)動くなり」と詠んだ歌が送られる。

木村は無期懲役を言い渡されるが、立件できるのは保険金殺人のみだった。

むきになった藤井は生き埋め殺人の件で福森に取材しようとするが、

福森孝は逃げて藤井の目の前でトラックに轢かれる。

追いつめたのは藤井だった。

藤井は島神の遺体を探すため、木村の土地を掘ったー執念だ。


裁判が始まり、藤井も須藤も証言台に呼ばれた。

そこで藤井は意外な言葉を須藤から聞く。

須藤は木村を告発した理由として

「死刑の執行を先延ばししたいから、記者(藤井)を使った」と言った。

キリスト教に入信した須藤は、

藤井の前で「神は、生きて罪を償えと言った」としゃあしゃあと告げる。

藤井は利用されたことに腹を立てるが、どうしようもない。

「ジャーナリストとして正しい選択だった」と

芝川編集長に声をかけられるが、藤井の失望は慰められない。

藤井の取材の執拗さは常軌を逸していた。

「ひとつ教えてやる。私を殺したいと一番思っているのは、

被害者の遺族でも須藤でもない」・・・面会室で藤井に会った木村は、

こう言うと藤井を指して去る。藤井もまた「凶悪」だった・・・・・



手口は残虐だが、罪の意識はない。

善悪の感覚自体が欠落している。

なぜ彼らは凶悪なのか。

ふつうは不幸な生い立ちなどが理由として描かれるところだが、

一切語られない。

彼らは欲望に忠実に、当然のように凶行を繰り返す。


土地は持っていても誰にも相手をされず孤立した老人。

借金で家族から見放された老人。

どのみちこの老人たちに行き場はない。

須藤と木村は、今の世の中が生んだ孤独な高齢者を殺して、

効率よく金に換える。

まるで社会の仕組みの一つとして、

「最終処分」を請け負っているかのように見える。

これは平成の地獄の風景ではないか


一方で家族には優しく、人間味も示すが・・・

しかし…ここまで触れてきませんでしたが、藤井にもある種の「罪」がある。

藤井は認知症を患った自分の母・和子(吉村実子)に向き合うことをせず、

その面倒をすべて妻・洋子(池脇千鶴)に押しつけていた。

洋子を母親と勘違いしている姑・和子の面倒を見て、

24時間気の休まらない洋子は追いつめられており、

姑に手をあげるようになっていた。

再三にわたって洋子は姑・和子をホームに預けることを提案するが、

藤井はそのたびに仕事に没頭して逃げていた。

洋子から離婚届を突きつけられた藤井は、

やっと和子をホームに預ける決断を下した。

藤井と洋子は和子をホームに連れて行ったが、

夫婦仲が戻るかどうかは分からない。


藤井の記事が掲載された時、洋子は藤井に言う。

「楽しかったんでしょ? こんな狂った事件追いかけて」

「読んだ私も楽しかった。世の中にはこんなに怖い事件があるんだなって、

こわいもの見たさで読んだ」と告げた。





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